2025年2月11日はインターネットの安全な利用環境の実現に向けて、世界中のステークホルダーによって啓発活動が行われる「Safer Internet Day(セーファーインターネットデー、以下SID)」でした。
セーファーインターネット協会では翌日の2月12日にSafer Internet Day2025 JAPANフォーラムを開催いたしましたので、その様子をご報告します。
開催レポート
まず初めに、総務大臣政務官 川崎ひでと氏より開催を記念しご挨拶をいただきました。
深刻な課題となっている「SNS上の偽・誤情報」について、総務省の対応の柱の一つとして、総合的なリテラシー向上を目指す官民連携プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」をご紹介いただきました。また、本フォーラムも「DIGITAL POSITIVE ACTION」と同じ趣旨であり、社会的機運の上昇に繋がると述べられました。安心できる情報化社会の推進に向け、「みんなでこの活動を盛り上げていきたい」と関係者全員が協力し合うことの重要性を改めてお伝えいただきました。この期待の言葉とともに、Safer Internet Day 2025 JAPANフォーラムが幕を開けました。
- [アーカイブ動画]川崎ひでと総務大臣政務官ご挨拶 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=0Levl0x9tiM - 大臣・副大臣・大臣政務官の動き(総務省)
「Safer Internet Day2025 JAPANフォーラム(令和7年2月12日)」
総合的なICTリテラシー向上に向けた総務省の取組について
一人目の登壇者は総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 企画官 吉田 弘毅 氏です。
総務省が推進する総合的なリテラシー向上に関する取り組みについて、その背景や啓発活動、事業者のサービス設計上の工夫の自主的取組、信頼性の高い情報表示の対策の3つの柱についてご解説いただきました。
具体的な取り組み事例として、官民連携プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」として、1月22日に行ったプロジェクトの発表会の様子の紹介や、プロジェクト推進パートナーによる取り組み予定の他、 偽・誤情報に関する技術支援、制度的対応など、 偽・誤情報対策の状況についてご紹介いただきました。
- [アーカイブ動画]総務省情報流通行政局情報流通振興課 企画官 吉田 弘毅 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=RyCouYEBar4 - つくろう!守ろう!安心できる情報社会 DIGITAL POSITIVE ACTION(総務省)
https://www.soumu.go.jp/dpa/
Abuse 対策チームの取り組み~よりよいインターネット環境を共につくる、考える~
二人目の登壇者は、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部 カスタマーリライアビリティ部・ネットセ ーフティ企画グループ リーダー 富家 教世 氏です。
児童の権利保護の観点から、CSAM(Child Sexual Abuse Material)の表現の定義について、さくらインターネット社において国際情勢を鑑み、どう用語の定義を整理し、表現しているかご説明いただきました。併せて、Abuse 対策チームの取り組みとして、提供サーバーサービス上で発生している不正行為や権利侵害行為に関する対応や報告窓口の設置、透明性レポートを通した透明性に関するお取り組みについてご紹介いただきました。
- [アーカイブ動画]さくらインターネット株式会社
カスタマーリライアビリティ部・ネットセーフティ企画グループ リーダー 富家 教世 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=cC2fbsryPnk&t=34s - 迷惑行為・不正なサイトなどの報告窓口(さくらインターネット)
https://abuse.sakura.ad.jp/
デジタル空間の安全を維持するためのマイクロソフトの取り組み
三人目の登壇者は日本マイクロソフト株式会社 政策渉外ディレクター 井田 充彦 氏です。
デジタル空間の安全を保持するためのマイクロソフト社における取り組みについて、ユーザーの安全に関する4つのアプローチやデジタルシティズンシップ文化の醸成の必要性について解説いただきました。続いて、生成AIを悪用したディープフェイクにおける対策や、適切な利活用を促進するための取り組み等とともに、マイクロソフトがSafer Internet Dayを記念し、提供を開始された教育版マインクラフト(CyberSafe AI: さらに深く掘り進みましょう)など、教育プログラムやゲームなどを通じた、大人から子どもまで幅広い年齢層に向けた生成AIの適切な利活用に向けた取り組みをご紹介いただきました。
- [アーカイブ動画]日本マイクロソフト株式会社 政策渉外ディレクター 井田 充彦 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=VPRRDI-Xt2M - 「セーファー インターネット デー」を記念して、『Minecraft Education』で AI を深掘りする(Microsoft)
https://news.xbox.com/ja-jp/2025/02/12/minecraft-education-cybersafe-ai-dig-deeper/
インターネットに関連する暴力や搾取から子どもたちを守るために
四人目は公益財団法人 日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室長 中井 裕真 氏です。
中井氏からは、ユニセフ本部より本フォーラムに寄せられたメッセージをご紹介いただきました。年齢を問わずインターネットを使うすべての年代が様々な課題に直面するなか、ユニセフが「特別な配慮を必要とする」とする18歳未満の子どもや若者について、「デジタル環境は“子ども時代”を大きく変えている」とのユニセフ本部の見解に続き、インターネットに関連する暴力や搾取から子どもたちを守るためには、思慮深く包括的でエビデンスに基づいた対策の必要性を解説。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」やユニセフなどが提唱する「子どもの権利とビジネス原則」を紹介し、デジタルテクノロジーの急速な進化が、法律や各種支援の整備の速度を遥かに上回っている現状を鑑み、幅広いステークホルダーの参加と協力が必要であること。中でも、様々なサービスを提供する企業こそ、子どもの権利を尊重し、プロアクティブに子どもたちのオンラインでの安全を確保する重要な役割を担っていること、またそれをビジネスチャンスとして捉えていただきたいと訴えられました。
- [アーカイブ動画]公益財団法人 日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室長 中井 裕真 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=H5mn9jx1T_s - インターネットと子ども(日本ユニセフ協会)
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/advocacy/internet.html
偽・誤情報とどう向き合うか~地方テレビ局が小学生に伝えたメッセージ~
五人目は北陸朝日放送株式会社 編成局総合編成部長 中島 佳昭 氏です。
「 偽・誤情報を見抜く力を養う」出前授業の取り組みについて、出前授業を行うに至った経緯や放送事業者、教育機関、専門家の3者が連携して立案した授業の内容を解説いただきました。小学校で行われた授業において、伝言ゲームを通じて 偽・誤情報が発生する状況を体感する子どもたちの様子を、動画を交えてご紹介いただきました。
また、能登半島地震で実際にあった 偽・誤情報の事例を交えながら、正しい情報発信や 偽・誤情報を打ち消す可能性や、放送事業者ならではの啓発活動のあり方など、放送事業者の役割を被災地域において再確認されたその重要性についてもお話いただきました。
- [アーカイブ動画]公益財団法人 日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室長 中井 裕真 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=AGrQ5zzBdwI - 「偽・誤情報を見抜く力を養おう!子どもたちに伝えたいこと~北陸朝日放送が小学校で出前授業~」 – YouTube 北陸朝日放送公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?feature=shared&v=_ZIBX5rBbZ8
GIGA時代における情報モラル教育のポイント
六人目は一般財団法人LINEみらい財団 事業推進部 部長 西尾 勇気 氏です。
GIGA時代における情報モラル教育のポイントとして、これまで長年取り組まれた教材の開発や出前授業、調査研究、教育機関との取り組みの成果をご紹介いただきました。また具体的な活用事例として、LINEみらい財団が提供する教材「GIGAワークブック」を通した、デジタル教育の推進と教育格差の是正に対する取り組みや想いをお話いただきました。また、本年のセーファーインターネットデーにあわせて開発・公開されたSNSの誹謗中傷のリスクが学べる中高生向けの教材をご紹介いただきました。本教材は常葉大学と共同開発されたもので、教材の活用を通し、より実践的に、ネットコミュニケーションの難しさやリスクを見積もることの大切さについて、子どもたちが自身で考え、学ぶきっかけ作りを目指しているとのことです。
- [アーカイブ動画]財団法人LINEみらい財団 事業推進部 部長 西尾 勇気 氏 – YouTube SIA公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=pl4xkw3mv0s - LINEみらい財団と常葉大学、“SNSの誹謗中傷リスク”が学べる中高生向け情報モラル教材を共同開発(LINEみらい財団)
https://line-mirai.org/ja/events/detail/new/175
多くの知見のご共有がなされ、本フォーラムは幕を閉じました。
セーファーインターネット協会では、今後も安心・安全なインターネット利用に向けて様々な関係者との取り組みを通じ、「Together for a better internet」を推進してまいります。
Safer Internet Dayの趣旨に賛同し、ご支援いただいた多くの企業・団体の皆様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
概要
開催日時
開催日:2025年2月12日(水)14時~15時半
開催方法:ZoomウェビナーによるオンラインLIVE配信
主催:一般社団法人セーファーインターネット協会
プログラム
ご挨拶
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- 総務大臣政務官 川崎ひでと氏
- 総務大臣政務官 川崎ひでと氏
ライトニングトーク(LT)
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- 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 企画官 吉田 弘毅 氏
演題「総合的なICTリテラシー向上に向けた総務省の取組について」 - さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部 カスタマーリライアビリティ部
ネットセーフティ企画グループ リーダー 富家 教世 氏
演題「違法・有害情報の取り組み」 - 日本マイクロソフト株式会社 政策渉外ディレクター 井田 充彦 氏
演題「デジタル空間の安全を維持するためのマイクロソフトの取り組み」 - 公益財団法人 日本ユニセフ協会 広報・アドボカシー推進室長 中井 裕真 氏
演題「インターネットに関連する暴力や搾取から子どもたちを守るために」 - 北陸朝日放送株式会社 編成局総合編成部長 中島 佳昭 氏
演題「偽・誤情報とどう向き合うか~地方テレビ局が小学生に伝えたメッセージ~」 - 一般財団法人LINEみらい財団 事業推進部 部長 西尾 勇気 氏
演題「GIGA時代における情報モラル教育のポイント」
- 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 企画官 吉田 弘毅 氏
司会:一般社団法人セーファーインターネット協会 参事 佐川 英美
LT進行:一般社団法人セーファーインターネット協会 主席研究員 高橋 大洋
レポート:一般社団法人セーファーインターネット協会 広報 吉井まちこ
最終更新日:2025年3月5日