認定者インタビュー
ネットセーフティとの出会い
元々高校の美術教員ですが、社会教育主事の任用資格もあって、平成25年度から6年間、秋田県教育庁・生涯学習課にて、「大人が支える!インターネットセーフティの推進」事業を担当しました。事業内容を検討する際「子どもネット研※」の報告書 を理論的な裏付けとして参考にした他、県内の指導者養成を行う際には、ちょうどスタートしたSIAの人材養成事業と連携したことなどが、SIAのネットセーフティ認定との関わりの始まりです。
教育庁勤務時代には、インターネットセーフティについてより知見を深めるべく、東京のIT企業に3ヶ月間出向するという貴重な経験ができたこともよい思い出です。現在は、学校で授業や探求活動の環境づくりではもちろん、教員の校務へのICT化なども含め、“インターネットの安全な活用”に取り組む毎日です。
社会教育の側面でのネットセーフティ
生涯学習課に赴任した平成24年度から、県庁出前講座で、ネットセーフティ講師を担当するようになりました。初期の頃は年間に100件ぐらいを、県内各地の児童・生徒向け、保護者向けに、私ともう1名の職員とで講話をしていました。その後、人材の育成を進め、県内の教育事務所・出張所の複数の担当者と協働し、より活動を広げることができるようになりました。
講座をはじめた頃は、端末を「持たせない」「遠ざける」といった考え方のほうが強かった時代です。そんな中、現場に出かけていくたびに、学校や保護者が実際にはどんな情報を求めていて、どんな悩みを持っているのかが見えてきて、その期待に応えようと、話の構成やスライド教材は自分たちの手で作っていきました。その際、子どもネット研の考え方に大きく影響を受けたと記憶しています。
その後、ネットデビューの低年齢化が進み、市町村の就学前健診に合わせて保護者向けの講話をしたり、地元新聞社との協働でネットセーフティに関するQ&Aを連載したりと、活動範囲は広がっていきました。家庭教育支援という観点から、子育て課題の一つとしてのネット問題に対する包括的な取り組みが、年を追うごとに強く求められるようになっていったと、今、当時を振り返って思います。
子どもネット研やSIAとの協働によって、秋田県内全25市町村で地域ネットセーフティ指導者の養成講座を開催することができました。この過程で、県内の小中学校の先生方や市町村の生涯学習・社会教育担当者にも、子どものネット利用は活用を前提とした安全確保が大切だという考え方や、「インターネットセーフティ」という共通の言葉が定着していったという実感があります。
高校教員としてのネットセーフティ
コロナ禍は、高校の教育現場でのICT活用を大きく前進させたとは思います。本校の生徒たちも、支給された端末を自宅にも持ち帰って、オンラインでの課題提出や、面接練習、小論文の添削指導などが日常的になっています。
私より技術的に詳しい教員はもちろんたくさんいますが、周囲からは、教育庁での事業経験を通じた、ネットセーフティをベースとした取り組みの推進に、役割として期待されているところがあるのかなと思っています。 もう高校生なので、生徒たちはネット利用についても自立していく必要があります。たとえば新入生には、これから3年間、健全利用のあり方や、オンラインのコミュニケーションとどのように向き合っていけばよいのか、私自身が講師となって、活用の段階に進むための取り組み方について、基礎的な確認を行っています。
これからも、子育て課題としてのネットの問題が無くなるということはないでしょうから、ネットセーフティという考え方をもった様々な関わりは、これからも形を変えながら続くだろうと思います。
※「子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)」の第9期報告書は、SIA認定制度の考え方のベースになっている
(所属・肩書は2022年3月時点のものです。)